24 June 2004

夏季限定

自主映画を撮ることになった。正攻法では勝ち目がないのであえてZ級を狙う。宇宙人に扮した田中(仮)が地球で種の存続をはかろうと、地球人のOL・谷山(仮)をスーパーナチュラルな力で拉致し、いろいろやる。ところが、田中の行動は谷山の嗜虐性に火をつけてしまう結果になった。関係性が逆転する。そして芽生える奇妙な愛情。田中は子孫を残せるのか?宇宙に帰れるのか?という話。


田中の宇宙人メイクは青いリキテックスで十分だろう。頭を坊主にしていい了承はとってある。谷山は協力的な女優で、上半身ならば見せてもいいという。お色気は必要なので戦略的に導入したのだ。
撮影の問題点がひとつある。田中は興奮すると、青い汗をかくという設定なのだ。田中自身の発汗ショットはまあなんとかなるとして、問題は大量の汗に溺れる谷山、というシーンなのだ。相談の結果、全身で溺れるという画を諦め、アクリル版で小さな水槽を作って体の各部位を別々に撮ることとなった。水槽を高い場所に据えてアオることで疑似水中撮影だって可能だ。
しかし、青い絵の具の溶けた水に顔を浸すのは衛生上どうだろう。谷山ならやってくれそうだが、リスクは回避しなければ。絵の具だと微妙な透明感が出るかどうか自信がないし、もし飲んでしまったら…。
自分が考えていると、助監督の長谷川(仮)がこう言った。

「ペプシブルーはどうですか?」







そういう色だ。ペプシブルーは。
以上フィクション。

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