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いつもの場所で落ち合おう


近所の猫のボス格として君臨していた俗称ニャーを最近見ない。彼の本当の名前は知らない。真冬の寒さも耐え忍んで外にいたのに、春になった途端いなくなった。
自分が今の部屋に引っ越してきた時にはすでに駐車場にいて、それからの数年間、帰るとまず挨拶をする相手だった。一度あまりに腹を空かせているようだったので、残り物のベーコンを遣ったらそれ以来、ウチでおやつを食べることに決めたようで、しつこく部屋の前をうろついていた。写真はドアが当たらないギリギリのところで待っているニャー。正直しつこさに閉口していたけど、一回、さらにしつこい勧誘の人にまとわりついて撃退したこともある。というかウチの猫ということにして、そろそろエサの時間ですからという理由で追い払ったのだけど。
彼の種族は他にいないようで、どこからか流れてきたのか、家族と死に別れたのかということは判らない。それでも俗称ハシオキ、「箸置き」の種族と付かず離れずの距離で共存していた。天気のいい日は日陰と日向の境界あたりに座りこんで、自分が自転車を出すのを邪魔した。日本語で頼むと退いてくれた。冷凍エビが余ったので電子レンジで解凍してから遣ると、匂いがないせいか食わなかった。ベーコンを遣ると一心不乱に食い、そこは通路で邪魔なので移動させようとすると巧みなフットワークで取り上げられまいとした。ムカついたのでケータイで写真を撮ったが意に介さないようだった。
いつもの集会所に満月の夜、午前2時ごろに行けば会えるだろうか。それ以外に彼の消息を知るすべがないのが寂しい。

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