よく蒸れてる
しかも重要なシーンではない(たぶん)。
ところがその映像はいつまでたっても記憶の底に残り続け、ふとしたはずみに必ず浮上するのです。
キッチン。
いままさに女性がコーヒードリッパーに湯を注いだところ。
オカマっぽい喋りかたの男性が、コーヒーの匂いを嗅ぎ、
「んー、よく蒸れてる」
…その男の喋り、わざとらしい甲高い声、ややオーバーアクトな仕草が頭から離れず、「よく蒸れてる」は字幕の文字であってセリフはフランス語だったにも関わらず、実際ドリッパーでコーヒーをいれる時には必ず脳内で映像がリピートされるのです。しかもよく憶えていないもんだからぼんやりと紗がかかったイメージで。
その映画のおかげで「コーヒーの粉はまず蒸らすものだ」ということがわかってよかったのですが、弊害が多すぎます。自分は一生、コーヒーをいれるたびにこの甲高い声の男に感想を言われるわけです(脳内で)。元ネタさえわかればその映画を再見し、記憶とすり合わせることによってこの映像を消せるかも知れません。意外と特徴的なシーンなのでどなたかご存じかもと思って書いてみた次第です。
もう一件はかなり強烈です。
暗い台所。
大根のようなものを切っている主婦。
背後で様子を窺っていた姑(白髪をひっつめにした老女)が乱入し、言い合いのすえ、揉み合いになる。
主婦は誤って、持っていた出刃包丁を落とす。
足の甲に突き刺さる包丁。
主婦、叫ぶでもなく、硬直したまま苦痛に喘ぐ。
「あっ……あっ……」
それを愕然と見ている姑。
<次のシーン>
……これは映画じゃなかったかも知れません。もしかしたらテレビドラマかも知れませんが日本の話だったのは確かで、主婦役は竹下景子さんか宮崎美子さんか、いずれかだという記憶が。そして姑は初井言榮さんだったと思うんですが、自信がありません。
けっこう大変な事態に陥っているにも関わらず、さくっと次にシーンに行く映像のキレ。しかも次のシーンなど全く憶えていない。
このイメージは台所で大根やキュウリなど長くて太いものを切るたびに浮かぶもので、すでにお気付きの方もいらっしゃると思いますが、前のやつも共に台所関係のイメージ。
つまり自分は台所に関する映像記憶に苛まれているわけです。
けっこう辛いです。元ネタにお気付きの方は是非ご連絡ください。
Posted 01/30/06 | Filed under: 徒然
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