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This is the archive for May 2005

『玉虫』はよかったなあ『玉虫』は

塚本晋也監督『玉虫』観た。小池真理子の原作。浅学にして小池さんの本は読んだことがないのだけど、ひょっとしてたぶん全然映画と違う雰囲気なのではないかと思った。シチュエーションは謎の男とその年嵩の情婦、みたいな感じなのだけど、もう映画のデザインがすげー先走って!おり、かなり乗れたというか。そのバス乗ります!っていうか。もうこれくらい遠くに連れてってくれないとダメじゃないかと思った。好きな塚本映画のトップ3に入ってしまった。
石田えりさんが可愛すぎで、けっこうビザールなことをあえてやらされているようなところはあったとしても、それを超越して可愛く見えてしまうのは、もう監督の作戦勝ちっていうか。故ヘルムート・ニュートンは石田さんに施したビザールな意匠を「ビザールでござーる」という方向にしか使ってなかったと思うのだが、塚本さんは逆で、なまの表情を目立たせるために使っていたとしか思えない。ピンクレディーを踊っていた石田さんがマジ照れていたように見えたのは自分だけだろうか?
冒頭、石田さんが小林薫さんと玄関先で話すという印象的なシーンで、「待ってる女」という演出があそこまでキュートなのは、石田さんの超越しまくっている少女性のすごさもさることながら、やっぱりこういうのは以前の塚本さんが許容しなかった演出であり、ちょっと監督が透けて見えたなあって気がしたからであり、まあつまり自分はそういうのが好きだなあホントに。
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長谷川京子 姫野カオルコ 室井佑月
アミューズソフトエンタテインメント 2005-12-22

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水をのんでまた眠る。

北沢タウンホールという、いっつも前は通るんだけどじつは初めて入る会場で、七里圭監督『眠り姫』を観てきた。観てきた、というより「聴きに行った」といったほうが正確なのかも知れないというのは、自分も『晴れた家』と『新しい人』という作品でお世話になっている作曲家・侘美秀俊さんちの楽団カッセ・レゾナントの演奏会でもあったから。ちなみに3回公演の最終回、場内満員。

えーとつまり、『眠り姫』という映画にカッセ・レゾナントが生演奏で音楽をつける、という珍しい試み。概要とかあらすじなんかは公式サイト(画像クリックで飛べます)で見ていただければわかるのですが、上映(公演)のキモを知るには観に行くしかない。あの空間でここちよく鑑賞されるために、徹底的にライブチューンされていたので。

まずこういう試みが実現されたということがすごいわけで、関係各位の企画力と粘りと情熱を尊敬せざるを得ないですよ。思ってても実現はしないもの普通。しかも既成の映画にただBGMをつけるってわけじゃなく、室内楽団の生音が乗っかるということを完全に想定した上で再撮し音響をレタッチし全編が再構成されてる。指揮者でもある侘美さんの手元を見ていたら、ある場面でパワーブックを操作しているように見え、それって「セリフを出してからフルート」、みたいに音の方からのライブ演出が施されていたのではなかったか。もしそうならすごいおもろい。映画上映会というより音響アートな空気さえ醸し出してた。