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This is the archive for December 2005

大学コロニーまんが。

4063521060もやしもん 1 (1)
石川 雅之
講談社 2005-05-23

by G-Tools

4063521265もやしもん 2 (2)
石川 雅之
講談社 2005-10-21

by G-Tools

以前ある学芸員の方が酒の席で「おもしろい」と評されており、気になって読んでみたところ自分内ヒット。講談社イブニングは『さくらん』しかチェックしてなかったな。というか連載誌は基本的に読まない単行本派なのだけど。
このまんがを「特殊学校モノ」というくくりに入れてしまうのはちょっと抵抗があるのだけど、『動物のお医者さん』以来、専門的な学校を巧みにフィクション化した傑作に出会えてなかったので、あえて大好きなこのジャンル内に置かせていただきたい。いかに自分がまんがを読んでないかということがわかると思いますがさておき。『ハチミツとクローバー』ももうちょい、美大内部の特殊な内情が描かれていれば乗れるんだけどなー。
農大に入学した主人公には「菌類が肉眼で見える」という特殊能力があって、そのおかげで怪しい教授やら院生に目をつけられ、半ば強引に研究室に出入りさせられるようになる。…と、いうのは話の導入にすぎず、すぐにサブキャラが立ってきてそういう設定が脇に追いやられ、ひたすら学内の珍事や専門的蘊蓄に物語が集中していく(そういえば主人公の帰る部屋とか一切出てこない)。初期設定で主人公の相棒として描かれていたキャラクター(『お医者さん』で言う二階堂)は二巻の中盤でいきなりいなくなるし。
いや、そういう風に書いちゃうと破綻に見えるかもだけど、このまんがにおいてはむしろそういう脱線が魅力にうつるので不思議。というか意図的なのではないかとさえ思う。大学自体が菌でいうコロニーとして描かれていると読めば、それぞれのキャラクターの役割は菌同士の関係性を象徴しているのかのようにも見える。
まあ個人的には、粘菌ネタの時に案の定『風の谷のナウシカ』がパロられているっていう細かいところに掴まれたんだけど。皇弟さまとかね。土鬼の。
大きな流れを作って話を収束させずにダラダラと長く続けて欲しいなあ。