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This is the archive for October 2005

映画好きのための『ワンダと巨像』

B00064A8G6ワンダと巨像
ソニー・コンピュータエンタテインメント 2005-10-27

by G-Tools

あれですよ。『シンドバッド七回目の航海』で、エーテルか何かで満たされた巨大な彫像が襲ってきますよね。魔法で動いてるやつ。やべえ死ぬ、なすすべもない、と思ってしまうんだけど、命からがら踵についてる栓を抜くと、そこから中身が漏れて彫像倒れる。
あれが自分が操作するキャラクターで体験できるゲーム。
造物主レイ・ハリーハウゼンの魂を受け継いでいるかのような巨大なクリーチャーを剣と弓だけで倒す。背中によじ登り急所に何度も剣を突き刺すと、断末魔をあげてくずれおちる巨像。
これがめちゃくちゃ血がたぎる。
どうやって巨像の体に貼り付くか、というところで頭を使わせるんだけど、ほとんどヒントがなくしかも敵が超デカい&強いので、倒した時の達成感がすごい。なんで巨像は108体とかいないんだろう。延々倒し続けたいのに。
同じチームの前作『ICO』と同じく、押しつけがましいストーリーはない。ゲームの時間軸で世界観をじんわり味わうというつくりになっているんだけど、『ICO』で表現に成功していた、ニュアンスに富んだ問わず語りのストーリーのようなものは、残念ながら弱い。ただひたすら強い敵を狩りにいくという連続で、戦いが終わったら物語も収束するだろうということを予想させてしまう単純さがネック。でもその分、「もっと強い奴に会いてぇ」みたいな血のたぎりがすごい。経験値上げだのアイテム集めだの「映画的なムービー」だのがない分、純粋に戦いに専念できる。やらされてる感皆無。
イベントを盛り込み一時も飽きさせないような、足し算で作られているゲームが多いように思うのだけど、その中で、余分なものを廃そうとする引き算やろうとしているところが志高い。
主人公は黒い馬(かなりリアル)に乗って移動するんだけど、自分はこれが『ネバーエンディング・ストーリー』のアルタクスに思えてもうそれだけで感涙なんです。黒王号じゃないです絶対。あと3D酔いする人は注意。視点のブレはけっこうキツイ。